日本には多くの優秀な中国籍社員が働いています。海外の取引先や関連会社とのコミュニケーションでは彼らは重要な役割を果たしており、欠かせない存在となっている企業も多いかと思います。
ここではそういった中国籍社員を日本国内勤務から自社の香港法人に駐在させるために必要となる香港就労ビザ申請の概要や注意点を説明します。
中国籍社員を香港の現地法人に出向させるメリット
中国籍社員は文化的な面において香港の環境に適応しやすく、円滑な業務遂行が期待できます。彼らは中国語(普通話)に加え英語の運用能力も一般的に高く、香港のビジネスにおいて重要な言語となっています。香港は中国本土との取引が盛んであり、中国籍社員の存在は顧客や関連会社とのコミュニケーションを円滑に進める上で大きなメリットとなります。
さらに、香港は中国本土との取引の架け橋としての役割を果たしており、中国籍社員が現地にいることで、香港と中国の間でのビジネス機会の拡大や新たな関係構築が容易になります。彼らは中国市場の洞察力や地域的な市場知識を持っているため、香港の現地法人の発展や事業拡大に貢献することができます。彼らの洞察力に基づいて、より効果的なビジネス戦略を立案し、中国市場の傾向や消費者の好みに合わせたサービスや製品を提供することが可能です。
以上のような理由から、中国籍社員を香港の現地法人に出向させることは、多くのメリットをもたらすと考えられます。
どのような場合に香港就労ビザを取得する必要があるか
中国籍社員を現地法人に出向させ一定期間継続的に業務を行わせる場合には当然就労ビザの取得が必要となりますが、例えば、1ヵ月に満たない短期間 現地に出張させ業務を行わせるような場合には注意が必要です。香港で業務を行う場合、一部の例外を除いて、期間の長短にかかわらず就労ビザ取得が必要となるのが原則です。
中国籍社員はビジタービザ(※)を取得し香港に出張することができます。就労ビザの取得無しにビジタービザで認められる商用訪問については次のとおり制限されています。
(※)香港訪問の際、中国籍社員は日本人の場合と異なりビジタービザの申請・取得が必要です。
[香港入境局HPより抜粋] (訳文弊所)
For business visit, a person permitted to enter Hong Kong as a visitor may generally engage in the following business-related activities: concluding contracts or submitting tenders; examining or supervising the installation/packing of goods or equipments; participating in exhibitions or trade fairs (except selling goods or supplying services direct to the general public), settling compensation or other civil proceedings; participating in product orientation; and attending short-term seminars or other business meetings. 「契約締結、入札参加、製品の据え付け・梱包の検査・監督、展示会・商談への参加(但し、一般公衆への製品販売・サービスの提供は不可)、賠償金の支払いやその他民事手続、製品説明会への参加、短期間のセミナー・会議への参加」 |
上記に該当しない活動は通常の手順に従い就労ビザを取得する必要があります。
中国籍社員の香港就労ビザ申請における前提条件
日本に勤務する中国籍社員が香港就労ビザを申請する場合、就労ビザ審査基準の検討に入る前に、以下いずれかの前提条件を満たしている必要があります。
- 中国籍申請者(中国パスポート所持者)が、外国の永住権/資格を有する者であること
- 中国籍申請者(中国パスポート所持者)が、香港就労ビザ申請の直前1年以上海外に居住していること
つまり、中国籍社員が日本の永住資格を持っている、または就労等により1年以上 日本で暮らしていれば就労ビザの申請が可能となります。
香港就労ビザ許可基準と中国籍社員の経歴や担当業務について
先述の前提条件を満たしていることが確認できたら、次は申請者となる中国籍社員の経歴や香港法人での担当業務が就労ビザの審査基準を満たしているかの検討を行います。
香港イミグレは就労ビザ審査基準として次のとおり定めています。
(a) There is no security objection and no known record of serious crime; 保安上の拒否事由および重大犯罪の記録が無いこと。 |
(b) The applicant has a good education background , normally a first degree in the relevant field, but in special circumstances, good technical qualifications, proven professional abilities and/or relevant experience and achievements supported by documentary evidence may also be accepted; 良好な教育背景(通常は担当分野での大学卒業程度)を有すること。ただし(教育背景の基準を満たさなくても)良好な技術的資格や専門能力等、書面により証明可能な経験や実績があれば特別に受け入れられる場合がある。 |
(c) There is a genuine job vacancy; 雇用先で真に空席ポストがあること。 |
(d) The applicant has a confirmed offer of employment and is employed in a job relevant to his academic qualifications or work experience that cannot be readily taken up by the local work force; 申請者が確定的な採用を雇用主から得ていること。その採用が、申請者の学歴・職歴と関連した業務についてのものであり、現地市民の採用によっては容易に置き換えられないものであること。 |
(e) The remuneration package including income, accommodation, medical and other fringe benefits is broadly commensurate with the prevailing market level for professionals in the HKSAR 申請者に支給される給与・手当が香港の専門的な職種の標準的なレベルと同水準であること。 |
香港就労ビザは、現地で容易に置き換えられることができない専門・管理的な人材を対象としたビザであるため、申請者の学歴・職歴が香港での(専門・管理的な)担当業務を担うにふさわしいものである必要があります。申請書類の作成では、日本人社員の場合と同様に、大学での専攻分野やこれまでの職歴が香港法人での担当業務にどのように活かされるのか主張し、証明書類を収集します。
また、日本で働く中国籍社員は、中国語・英語・日本語を話せるなど、日本人社員や香港ローカル社員に比べて語学力の面で優れている人材も少なくなく、申請書類で有利な点としてアピールすることができます。
中国籍社員が香港就労ビザを申請する際に提出する書類について
中国籍社員の就労ビザ申請では、中国の身分証明書類や直近の出入国記録など中国籍申請者に特有の書類が必要となるので注意が必要です。これらの書類は申請者の手元に無く中国から取り寄せなければならない場合もあるので早めの確認が望ましいです。
なお、卒業証明書などの提出書類が外国語の場合、訳文の提出が求められますが、中国語(普通語)の証明書類については訳文不要です。
中国籍社員の香港就労ビザ取得代行は弊所におまかせください
中国籍社員の香港ビザ申請は、日本人や他の外国人に比べ準備しなければならない書類が多くなります。申請時に適切な書類の提出により、ビザ許可基準に適合していることを十分に主張することが早期のビザ承認を得るために必要です。
弊所ではこれまで日本人だけでなく中国籍など外国人の香港就労ビザ取得をサポートし、確実なビザ取得でお客様に応えることはもちろん、迅速で丁寧なレスポンスを心掛けてきました。
香港ビザは取得後のサポートも安心の弊所までお気軽にご依頼ください。
香港就労ビザの申請サポートについては以下のリンクページよりご確認ください。