今回は短期滞在や就労ができない在留資格を持つ滞在者が報酬を得ても違法とならない例外的なケースについてお伝えします。

会社に就職したり家族とともに日本に暮らす場合、外国人はそれぞれ日本滞在のための根拠となる在留資格(以下、ビザと呼びます)を持っています。

その場合 原則としてそのビザで認められる以外の報酬を得る活動をすることは認められていません。
したがって例えば、システムエンジニアとして会社で働いている外国人が休日にコンビニでアルバイトをすることはできません。また、家族ビザで滞在する妻などが働くことも原則違法です。(注)

ただし一定の場合には、事前に出入国在留管理官署(以下ここでは入管と呼びます)から許可(資格外活動許可)を得ることで報酬を得る活動をすることができますが、それぞれのビザにより許可される場合・されない場合があります。

いずれにしても許可を得ないで報酬を得る活動をすると原則 違法となります。
※なお、報酬を支払う者が海外にいても、さらには報酬が海外で支払われる場合であっても違法です。

では、例外として、入管から許可を得なくても違法とならない(対価をともなう)活動は何かというと、以下の2つがあります。

 

 

入管から許可を得なくても違法とならない活動

 

◆ 日本国外の主たる業務に関連して行う従たる業務を短期間 日本で行う場合


例えば、海外企業の社員が短期滞在のビザで次のような活動をすることが可能です。

・海外企業のために日本で商談、契約締結、会議、業務連絡をおこなうこと
・海外企業が販売した商品の設置やメンテナンスをおこなうこと

支払われる報酬が日本で行われる活動の対価かどうかで「主たる業務」か「従たる業務」か判断します。
「従たる業務」である限り、その社員が海外企業から給与を支払われることは違法とはなりません。

 

 

◆ 業としておこなうものではない場合


入管が禁止している報酬を得る活動は、一定の目的の下で同種行為を反復継続的に行う活動です。これに該当するかぎり、たとえ営利目的はなくても報酬を得れば違法となります。

しかし、「一定の目的の下で同種行為を反復継続的に」=「業として行う」ものではない活動であれば、それに対して対価を得ても問題とはなりません。

例えば次のような場合にあたります。

・講演や講義、アドバイスなどを業としてではなく行う場合
・論文執筆や写真撮影、絵画を描くなどの著作活動を業としてではなく行う場合
・テレビ出演などを業としてではなく行う場合
・友人や知人の日常生活の手伝いを業としてではなく行う場合

上記のような場合にお礼や賞金として対価をもらっても違法とはなりません。
「一定の目的の下で同種行為を反復継続的に」=「業として行う」ものではないことがポイントです。

 


以上のように、日本で自分のした活動の結果 対価をもらうことが違法になる場合とならない場合があります。

線引きが難しいケースの活動は不安なまま進めず、入管や当所などにご確認ください。

(注)永住者や日本人と結婚している場合など一定の場合には入管の許可を得ることなく、(他の法律で規制のないかぎり)あらゆる活動が可能です。