香港就労ビザには有効期間が設けられており、その期間内に限り香港入境局(イミグレーション)から許可された雇用主のもとで就労することができます。ビザ期限が過ぎれば、たとえ無償であっても就労は認められないので期限までに忘れずに延長を行う必要があります。
就労ビザ取得後は日々の業務に追われビザのことも忘れがちですが適切にビザを延長しなければ様々な不利益が生じます。

例えば、、、、

就労ビザの延長を期限内に行わずビザが切れた状態で働いてしまえば、ご自身が不法就労となるだけでなく、雇用主も就労ビザを持たない者を働かせたことで不法就労助長罪として罰せられます。
また、ご家族を帯同している場合、スポンサーであるあなたの就労ビザが切れることにより、帯同している配偶者や子の家族ビザも切れてしまいます。
さらに、香港の永久居民資格(いわゆる永住権)の取得を希望している場合、就労ビザが切れることによって永久居民申請条件である「7年間の香港居住歴」がリセットされ振出しに戻ってしまうことにもなりかねません。

香港就労ビザ期限に注意

ビザ延長は新規申請に比べると簡易な手続きであるため安易に考えがちですが、上記のような不利益を受けない為にも期限に余裕をもってしっかり対応する必要があります。

以下をお読みいただくことにより就労ビザ延長手続きに関する疑問が解決できれば幸いです。

尚、本ページの「就労ビザ」は、日系企業の駐在員や現地採用で就労されている日本人が通常取得する一般就業政策(GEP)に基づく就労ビザの延長手続きを説明しています。

香港就労ビザ延長

就労ビザの有効期間

新規に就労ビザを許可された方は通常初回3年有効のビザとなっています。(注)

これまでは新規取得(2年間)→初回延長(3年間)→二回目延長(3年間)が付与されていましたが、ビザ保有者の便宜のため現在では新規取得(3年間)→初回延長(3年間)→二回目延長(2年間)となりました。

香港就労ビザの有効期間

(注)パスポート有効期限が3年に満たない場合や、雇用主(ビザスポンサー)との雇用契約が3年に満たない場合などはこの限りではありません。

ビザ期限はどこに書いてある?

就労ビザの有効期間について説明しましたが、ビザ期限が近くなったからといってイミグレーションから通知が来るシステムとはなっていませんので、ご自身で期限を知っておく必要があります。

では具体的に自分のビザ期限をどこで確認すればよいでしょうか。
ビザ取得後に発行されるIDカードを見ても現在お持ちのビザがいつまでかは書かれていません。

 

ビザ期限は次の書類で確認することができます。

初めて就労ビザを延長する場合

お持ちの就労ビザを初めて延長される場合、ビザをお持ちになって初めて空港などで入境審査を受けられた際、Landing Slip(下参照)という小さな紙片がパスポートに挟まれています。
ビザ期限はLanding Slipの上部Employment Permitted to remain until 日 月 年(日 月 年まで就労可能)として記載されています。

就労ビザ取得によってe-Visa(ビザ)が発行されますが、初回のe-Visaにはビザ期限日は記載されていません。なぜならビザはそれを持って初めて入境した日から有効となるものだからです。

ビザ延長が2回目以降の場合

お持ちのビザ(e-Visa)に記載されています。

ビザ中ほどの枠内「 EMPLOYMENT-Permission to remain extended until 日-月-年」(就労 -日-月-年まで延長許可)として次回ビザ期限が記載されています。

就労ビザ延長申請の許可基準

延長申請が許可されるためには、前回のビザ取得時(新規/延長)と同じく、一般就業政策(GEP)が掲げる基準を満たしていなければいけません。

就労ビザは専門・管理的な人材に対して許可されるビザです。前回申請時には、申請人の業務内容、役職、給与が専門・管理的な人材としてGEP基準を満たしているかが審査され許可されています。したがって、前回手続き時に比べ業務内容や役職などが大幅に変わっている場合で、ローカル人材に容易に置き換えることが可能と判断されれば、延長申請が不許可となる恐れがあります。
申請人と雇用主はこの点を認識して延長申請書類を準備する必要があります。

次のパートでは延長申請が「受理」されるための条件について説明します。
貴重な時間をつかってイミグレーションに行ったのに窓口で門前払いされてしまった、とならないためにも事前に確認してください。

就労ビザ延長申請が受理されるための前提条件

就労ビザの延長申請がイミグレーションで受理されるには主に以下の条件を満たしている必要があります。

ビザ期限が4週間をきっていること

ビザ期限が4週間以上残っている場合、申請が受理されません。期限を確認のうえ、4週間を切ってから申請をおこなってください。

申請時およびビザ受取時に香港に滞在していること

ビザ延長申請は代理人によって手続きすることができますが、その場合でも申請人本人が香港に滞在している必要があります。申請人が出張などで香港不在にもかかわらず虚偽により申請するようなことは絶対に避けてください。入境管理をおこなっているイミグレーションにはすぐにわかります。虚偽申請が判明すると、最悪延長が許可されなくなるだけでなく、刑罰が科されることも考えられます。また、雇用主としても今後の就労ビザ申請の審査に影響する可能性があります。

申請時にパスポート有効期限が残3ヶ月を超えていること

残3ヶ月を切っている場合は領事館でパスポート延長したうえで延長申請をおこなってください。

なお、以下のような場合は通常ルートで延長申請を行うことはできません。
それぞれのケースに応じて手続きや必要書類が異なります。

  • 既にビザ期限が過ぎてしまっている場合
  • 転職などにより雇用主が変わった場合
  • 前回手続き時に次回申請でレビューする旨の通知を受けている場合
  • ビザ期限前に香港を出境し、ビザ期限までに戻れない場合

延長申請に必要な書類を準備する

延長申請で準備する書類は原則として次のとおりです。

  • 申請書(ID91)
  • 申請人パスポート
  • 申請人香港IDカード
  • 現ビザ
  • 雇用主発行の在籍証明書
  • 雇用主Business Registration
  • 申請手数料

 

延長申請書類を準備するにあたっては新規申請時と同様、延長申請書類の準備にはスポンサーである雇用主の協力が必要です。
雇用主側で準備に時間がかかる場合もありますので、雇用主には早めに必要な書類の準備を依頼しておくと安心です。

申請書(ID91)については、イミグレーションのウェブサイトからダウンロードすることができます。
書式の延長が随時行われるため最新の書式を入手するようにしてください。

延長申請で重要となる書類は「雇用主発行の在籍証明書」です。
記載不備があると再提出などにより処理に時間がかかってしまいますのでしっかりと作りましょう。
在籍証明書には決まった書式はありませんが、役職、給与額、雇用期間などを誰についての証明なのかを明確にして記載する必要があります。
また、役職や給与額が前回手続き時に比べて下がっている場合、状況に応じて追加で説明書を添付することも検討してください。

一流人材のための優遇措置

2年以上有効の就労ビザを保有し、延長申請前年の給与税の課税所得が200万香港ドルを超えている場合、上記の書類に加えて所得証明書類を提出することによりTop-tier(一流人材)として5年間の延長が認められる優遇措置があります。
提出書類としては税務局発行の課税通知書等となります。

就労ビザの延長申請を行う

必要書類が準備できたら申請を行います。延長申請はビザ期限の4週間前から期限日まで受理されることから、タイミングを合わせて申請してください。

申請方法には1)窓口申請、2)オンライン申請、そして3)郵送申請の三通りあります。
窓口申請とオンライン申請は下記のとおりそれぞれ一長一短がありますが、ビザ期限までに時間に余裕がある場合はオンライン申請がお勧めです。

窓口申請の手順

1.申請日時及び申請窓口を予約する

イミグレーションのウェブサイト又は電話で都合の良い日時を予約してください。
予約無しに窓口に行って申請することも可能ですが、延長窓口は1日の受理数に上限があります。延長は申請数が多く、予約無しで申請する場合は午前中できる限り早めに並ぶことをお勧めします。
申請窓口はイミグレーション本庁が一般的ですが、下記のとおり香港内に設けられている支局でも手続きすることができます。

イミグレーション本庁 延長部門
Extension Section of the Immigration Department
5/F, Immigration Tower, 7 Gloucester Road, Wan Chai, Hong Kong
東カオルーン支局
Immigration – East Kowloon Office
Level 2, Sceneway Plaza, Sceneway Garden, 1-17 Sceneway Road
Lam Tin, Kowloon  (MTR Lam Tin Station – Exit B)
西カオルーン支局
Immigration – West Kowloon Office
Ground Floor, 28 Kimberley Street, Tsim Sha Tsui, Kowloon
(MTR Tsim Sha Tsui Station – Exit B2)
シャーティン支局
Immigration – Sha Tin Office
3rd Floor, Sha Tin Government Offices, 1 Sheung Wo Che Road,
Sha Tin, New Territories  (MTR Sha Tin Station – Exit B)
フォータン支局
Immigration and Registration of Persons – Fo Tan Office
Shops 405-407, 4/F, Jubilee Square, 2-18 Lok King Street,
Fo Tan, New Territories  (MTR Fo Tan Station – Exit C)
チェンムン支局
Immigration – Tuen Mun Office
1/F & 2/F, Tuen Mun Siu Lun Government Complex, 19 Siu Lun Street,
Tuen Mun, New Territories (Counter services are available on 2/F)
(Light Rail Sam Shing Stop)
ユンロン支局
Immigration and Registration of Persons – Yuen Long Office
1/F, Yuen Long Government Offices, 2 Kiu Lok Square,
Yuen Long, New Territories  (MTR Long Ping Station – Exit E)
(Light Rail Hong Lok Road Station)


2.申請日時に必要書類を持参して窓口に行く

イミグレーション本庁の場合は5階に延長申請の窓口があります。

3.窓口で書類を提出し、書類に不備が無いかなど形式的なチェックを受ける

4.書類に問題が無ければ番号札が交付される

5.待合室のディスプレイに番号札の番号が表示されたら指示されたカウンターに行く

6.審査に問題が無ければカウンターの担当官から番号札が交付されます

・改めて後日来庁を指示する通知書が交付された場合は指定日に来庁します。
・また、書類不備などが指摘される場合があり、その場合は指示書に従い指定日に来庁し指摘された書類を提出します。

7.支払窓口で申請手数料を支払う

ビザ延長手数料:230香港ドル(※年度により変動します)

8.ビザ交付

紙のビザ交付後はイミグレーションのウェブサイトから電子ファイル形式でダウンロードすることができます。

オンライン申請の手順

オンライン申請の場合、必要書類は予めPDFなど指定された形式・ファイルサイズで電子化しておきます。
尚、オンライン申請では申請書(ID91)を作成する必要はありません。

1.イミグレーションの延長オンライン申請サイト(下記)にアクセスする

 

 

2.フォームに必要事項を入力する

3.用意した在職証明書などの必要書類をアップロードする

4.署名画面が表示されるのでマウス等を使って署名する

5.申請から7日程度で受理通知が届きます

6.申請から2~3週間で審査結果が届きます

許可の場合には許可通知に表示されているURLにアクセスし手数料を支払います。
支払いはクレジットカードなどで行うことができます。

追加書類提出指示の場合は指定された期日までに提出します。

7.手数料支払いによりビザのダウンロード画面が表示されます

紙に印刷又は電子ファイルでビザをダウンロードすることによりビザ延長手続きは完了です。

延長申請の審査期間について

窓口申請の場合は申請当日に手続きを完了できることが多いですが、窓口申請・オンライン申請とも原則2~3週間を標準処理期間としています。

審査状況を確認する

申請後の審査状況についてはイミグレーションのウェブサイト又は電話により確認することができます。

オンラインによる確認はこちら

GovHK: Online Application Status Enquiry (www.gov.hk)

審査中に状況についての確認は上記ルートから概要(「審査中」や「許可」)のみを知ることができます。
窓口に行っても担当官が審査状況詳細を答えてくれることは原則ありません。

延長によって得られるビザ期間

通常 初回延長(3年間)・次回延長(2年間)としてビザが与えられます。
但し、パスポート有効期間が残り少ない場合や、雇用主(ビザスポンサー)との雇用契約等により許可されるビザの有効期間も影響を受けます。
延長時のeビザには下記の箇所に期限が表示されています。

香港就労ビザeVISA

こんなときはどうする?

追加書類提出の通知が届いた

通知書の内容を精査し、イミグレーションから求められている項目を的確にカバーする書類を準備してください。
提出期限は厳守してください。書類の準備が期限に間に合わないと考える時は、期限までにその旨をイミグレーションに伝えてください。
期限を徒過した場合は既に提出済みの書類によって処理されます。

ビザ期限が過ぎてしまった

数日程度であれば、通常の申請書類に申請期限が遅れたことの理由書を添えて、速やかにイミグレーション窓口に申請を行ってください。
期限1ヵ月以上過ぎてしまっている場合は延長ではなく改めて新規申請によってビザの取り直しが必要となる可能性が高いです。

解雇されて無職の状態

ビザの有効期間中に雇用主から解雇された場合でも、ビザ期限までは香港に合法的に滞在することができます。
一方で、就労ビザの延長にはビザスポンサーが必要ですので、このまま就労ビザを延長することはできません。
ビザ期限後も香港滞在を続けるには、新たな雇用主を見つけて就労ビザを維持するか、家族ビザなど他のビザに変更する必要があります。

ビザ有効期間中に転職した

転職などにより雇用主に変更が生じた場合、新しい雇用主のもとで就労を開始する前にイミグレーションの許可を受ける必要があります。雇用主側の安定性等に関する審査が行われるため、事業内容の説明や財務書類の提出など初回の就労ビザ申請時と同様の準備が必要です。

ビザ延長手続中に出張などで香港出境が必要なとき

延長申請をしたがまだ結果が出ていないうちに香港外へ出る必要があり、現在のビザ期限までに戻ることができない場合、香港出境前に仮延長の手続きを行う必要があります。
申請窓口はイミグレーション本庁5階の延長セクションとなります。
仮延長の手続きは通常申請当日に完了します。

帰国する場合

ビザ保有者としてはビザに関して必要な手続きはありません。
しかし、雇用主はビザ保有者が帰国することをイミグレーションの関係部署にFAX等で通知することが望ましいです。
当該雇用主が新規に就労ビザを申請する際、既に帰国した社員の情報がイミグレーション側で延長されておらず、申請処理に影響することがあるためです。

就労ビザ延長申請のポイント

就労ビザ延長申請について本ページでご説明した主なポイントをまとめます。

現在お持ちのビザ期限確認

香港政府から滞在・就労を許可されている立場であるので、うっかりビザを失効させないよう、ご自身のビザ期限はしっかりと確認しましょう。

延長申請が受理されるためには一定の条件がある

延長申請には手続期間に制限があります。早すぎても遅すぎてもいけません。さらに、申請時等に本人が香港に滞在していなければならない等の条件があります。
申請前にそれらの条件を満たしているか確認したうえで手続きしてください。

申請書類の準備

新規申請に比べ提出が必要な書類は少なくなります。しかし、延長申請の審査においても就労ビザの許可基準である一般就業政策(GEP)が適用されます。提出書類が少ないからこそ、GEP基準を満たしていることを各書類で確実に伝える必要があります。

特に雇用主から提供される在職証明については、申請者がGEP基準を維持していることを役職や給与等により証明する重要書類となります。

窓口申請/オンライン申請

申請者の環境に応じて、イミグレーション窓口に直接申請、自宅・勤務先からオンライン申請、または郵送申請を選ぶことができます。

 

延長によって就労ビザを維持することは合法的に香港で就労するためにきわめて重要です。
ビザ延長を2~3日遅れても理由書を提出すれば大丈夫だろうと安易に考えられる滞在者が少なくありません。しかし、ビザで定められた期間を超えて滞在(オーバーステイ)することは違法行為です。入境管理を担当するイミグレーションではオーバーステイを厳しく取り締まっています。うっかり忘れていたという言い訳は通用しません。
※オーバーステイした者の罰則は最高で罰金50,000香港ドル及び懲役2年、またオーバーステイ状態の者を雇用した雇い主は最高で500,000香港ドル及び懲役10年となっています。

適切な時期にビザを延長せずオーバーステイしてしまうことは、将来の永住のためにも悪影響を及ぼします。
永久居民申請(いわゆる永住権の申請)は7年間継続して香港に居住していた場合に申請資格を得ることができます。しかし、ビザ延長を怠りオーバーステイとなった場合、オーバーステイの間は「7年間継続して居住」にカウントされません。さらに、悪くすれば合法的に居住していた過去の年数さえリセットされてしまうおそれもあります。
なによりも、法律を順守していない者の申請は間違いなくイミグレーションにとって心証が悪いものとなるでしょう。

以上のような不利益を受けないためにもビザ期限を忘れず適切にビザを延長しましょう。

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