転職時のスポンサー変更は甘くない
香港の就労ビザは原則としてビザ発給時に申請した雇用主のもとでしか働くことができません。これは、就労ビザの審査は申請者の背景だけでなく、雇用主が香港経済に貢献している企業かどうか等についても審査し発給されるものだからです。
また、香港入境局(以下、香港イミグレ)では、雇用主は就労ビザで働いている外国人従業員が退職した場合、所定の届出を行うことを義務付けています。(届出をしていなければ以後の就労ビザ申請で香港入管から外国人社員数などについて疑義を持たれ、より慎重な審査、つまり審査の遅延が発生する可能性があります)
つまり、香港イミグレは就労ビザ保有者のステータスを把握しているということです。
したがって、就労ビザ保有者が転職する場合は香港イミグレに改めて申請が必要となり、それが一般にスポンサー変更申請(雇用主変更申請)と呼ばれる手続きとなります。
スポンサー変更申請を行って許可を得ていない場合には、ビザ延長の際に通常の延長必要書類を提出しても延長は許可されません。たとえ新しい雇用主の雇用確認書を提出したとしても、そもそも当該新雇用主の妥当性審査が済んでいないからです。
スポンサー変更申請は申請者・雇用主双方が改めて審査される
ビザ期限間近のスポンサー変更は一発勝負
スポンサー変更申請の審査期間は約四週間です。元の会社を退職後、スポンサー変更申請が許可されるまでは新しい職場で働くことは認められていません。
ビザ有効期間にまだ余裕がある場合は転職後 スポンサー変更申請を行い、自宅待機中に新しい職場の担当業務の予習などをして過ごせばよいので気持ちに余裕があります。また、万が一、スポンサー変更申請が申請者の経歴と担当業務の不一致や、新雇用主の経営状況などを理由に拒否されてしまった場合でも、ビザ期限までに改めて別の就職先を見つけて申請すればなんとかなります。
しかし、ビザ期限が迫っているような場合、もしスポンサー変更申請が拒否されてしまえば香港滞在の根拠を失ってしまい、就労はおろか香港から出て行かなければなりません。いってみれば一発勝負です。申請者としては四週間の審査期間中 不安で落ち着かない日々を過ごすことになり精神衛生上よろしくありません。
このような申請の場合、弊所では慎重に慎重を重ねて申請書類を作成しています。申請者のバックグラウンドと新しい雇用主のもとでの担当業務の関連性、申請者の経験・能力がいかに雇用主の事業にとって必要であるか等をしっかりと説明するとともに、雇用主の経営状況が香港経済に与えるプラス面を十分説明します。
しかし、どんなに申請書類をそろえて主張しても、スポンサー変更申請の許可基準に満たなければ許可されることはありません。
転職前(申請前)にビザの許可基準と申請者・雇用主の背景をしっかりと照らし合わせて許可の可能性を検討することが重要です。
今後のことを考えて転職を少し我慢することも大切
転職を考えている方へのアドバイスとしては、もしビザ期限が迫っているのであれば現雇用主のもとで少し我慢して、ビザ延長を済ませたうえで転職・スポンサー変更申請を行われたほうがより安全です。
また、将来 香港の永住資格を取りたいと考えられている方の場合、せっかくこれまで数年間香港で働いてきても、スポンサー変更が認められず一旦香港を離れてしまえば、再び香港で就職先を見つけても永住申請の基準である滞在年数の計算はふりだしに戻ってしまいます。そのことからも転職時期・転職先は慎重に検討する必要があるでしょう。
※なお、スポンサー変更申請は約四週間かかりますので申請中に現ビザ期限が切れるケースも考えられますが、審査結果が出るまでそのまま香港内に留まって問題ありません。
弊所では今回解説したスポンサー変更申請をはじめ香港ビザ申請実務に長年の実績がございます。
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