香港に駐在を予定されている方や香港で就職活動を行おうと考えている方、また求職者を雇用予定の企業を対象に、香港就労ビザについて詳しく解説します。
香港就労ビザ申請の不安が解消され、無事にビザ取得ができるよう参考となれば幸いです。

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香港就労ビザとは

外国人が香港で働くためには、一部の例外を除き、香港政府から就労を認めるビザを申請し取得する必要があります。この原則はたとえ就労が数日間であっても、また報酬が発生しない場合であっても適用されます。

香港で就労することを認められるビザは香港入境局(香港イミグレーション)が審査・発給しています。ビザを取得すると、外国人は指定された期間 香港に居住し就労することができます。
香港の就労系のビザにはいくつかの種類があり、それぞれ目的が異なります。
香港の企業に雇用される外国人が必要とする最も一般的な就労系ビザは、一般就業政策(GEP)に基づく就労ビザです。このビザは主に香港では容易に得られない特別な技能、知識、経験を持っている専門管理的人材に対して発給されます。

※本ページの「香港就労ビザ」または「就労ビザ」は一般就業政策(GEP)に基づくビザとして説明しています。

 一般就業政策(GEP)で定められている基準

我々日本人が就労ビザを申請する際に適用される一般就業政策(GEP)。
その基準を端的に言えば、
「申請者が特別な技能・知識・経験を有し、現地で容易に雇用できない者であるか否か」となります。

一般就業政策(GEP)では、申請者が次の点に該当する場合、審査において有利となることが示されています。

(a) There is no security objection and no known record of serious crime;
保安上の拒否事由および重大犯罪の記録が無いこと。
(b) The applicant has a good education background , normally a first degree in the relevant field, but in special circumstances, good technical qualifications, proven professional abilities and/or relevant experience and achievements supported by documentary evidence may also be accepted;
良好な教育背景(通常は担当分野での大学卒業程度)を有すること。ただし(教育背景の基準を満たさなくても)良好な技術的資格や専門能力等、書面により証明可能な経験や実績があれば特別に受け入れられる場合がある。
(c) There is a genuine job vacancy;
雇用先で真に空席ポストがあること。
(d) The applicant has a confirmed offer of employment and is employed in a job relevant to his academic qualifications or work experience that cannot be readily taken up by the local work force;
申請者が確定的な採用を雇用主から得ていること。その採用が、申請者の学歴・職歴と関連した業務についてのものであり、現地市民の採用によっては容易に置き換えられないものであること。
(e) The remuneration package including income, accommodation, medical and other fringe benefits is broadly commensurate with the prevailing market level for professionals in the HKSAR
申請者に支給される給与・手当が香港の専門的な職種の標準的なレベルと同水準であること。

 

上記に加えて雇用主も審査対象となることから、就労ビザを取得するために申請者と雇用主に求められる基準をまとめると次のようになります。

  • 申請者が香港入境拒否されたことがない
  • 申請者が国内外での重大な罪を犯したとこが無い
  • 申請者が大卒程度の学歴を持っている、または専門的な技術を持っている
  • 雇用主にとって申請者を必要とするポストに空きがある
  • 担当する業務が申請者の学歴や経験と関連がある
  • 申請者が香港ローカルスタッフによって容易に代えられない人材である
  • 申請者の報酬が香港人材市場において標準以上である
  • 雇用主が事業に必要なライセンスを持っている
  • 雇用主が申請者を安定して継続雇用できる財務状況である
  • ローカルスタッフの雇用など香港経済に貢献している

 就労ビザ許可基準の疑問点:学歴・職歴、給与など

あらためてGEPに基づいた就労ビザに話題を戻します。

香港政府は、我々外国人を就労させることによって香港市民の就労機会が失われることがないよう基準(GEP)を設けて個々の申請にふるいをかけています。
香港の雇用主のもとで行う業務に対して十分な知識と経験を持ち、ローカル人材による代替が難しいこと等GEPで求められる基準を申請者及び雇用主それぞれについて丁寧にあてはめ慎重に検討する必要があります。

GEPの基準を確認したお客様からは次のような点を心配されてご相談をいただくことがあります。

・最終学歴が高校卒業までしかない

・就業経験が3年しかない

・雇用主がこれまでの経験してきた業種と全く異なる

・飲食業や美容業のビザは難しくなっているか

・雇用主がローカル社員を雇用していない

・雇用主の経営状況が芳しくない

 

これらの点については以下を参考としてください。

学歴について

大学卒業でなくてもローカル人材には代替できない業務上の資格・専門的技能、関連分野での経験や業績などにより補うことが可能です。

職歴について

関連分野において3年以上の経験があることが望ましいとされます。香港雇用主のもとで担当する業務と過去の職歴で担当した業務が同じか関連性のあることが求められます。
学歴が高校卒・専門学校卒の場合は、10年以上の関連業務経験に加え相応の役職についていることが重要です。

役職について

GEPは専門・管理的な人材を対象としているため、アシスタントマネージャー以上の管理的役職であるか、スタッフレベルの場合でも財務や法務など専門性の高い業務を高度な日本語能力で行う必要がある場合など注意が必要です。また、飲食業やヘアサロン、ネイルサロンなどの美容業では管理職として店舗をマネージメントしてきた経験とそれにふさわしい役職が必要です。

給与について

申請者の役職と担当業務に照らし、香港の同レベルの人材の平均的な給与水準以上である必要があります。目安としては家賃補助などを加えて月額30,000香港ドル以上となります。

会社の経営状況について

雇用主の経営状況が悪い場合、申請書にその状況を明確かつ具体的に記載することが重要です。経済的な課題に焦点を当て、雇用主の事業の安定性について客観的な情報を提供する必要があります。同時に、将来の計画や改善策についても説明し、雇用主が状況を改善するために取り組んでいることを強調します。

また、説明を補強するために財務関連書類や経営計画書、取引先との契約書類などを提出することができれば積極的に提出すべきです。これらの資料は雇用主の経済的な立場や将来の安定性を裏付けるものとなります。

 

GEPで定められている個々の基準は全てを満たさなければビザが許可されないというものではなく、申請者・雇用主のプラス面とマイナス面をそれぞれ総合して判断されます。申請者については、学歴又は経歴だけでなく、管理・専門的な役職、報酬がその役職に見合っているかといった雇用条件も審査に影響します。また、香港地場有名企業や大手外資系企業である場合、国・地方自治体の出先機関などは審査において有利となることは間違いありません。

当局のビザ審査には裁量権が大きいことを念頭に、雇用主にとってどうしてこの申請者を迎え入れなければならないか、彼/彼女を雇用することによって雇用主の事業、ひいては香港経済にとってどのような好影響があるかを分かりやすく審査官に説明してあげることが早期の許可につながります。

 一般就業政策(GEP)の就労ビザの対象とならない国籍者

次の国籍に該当する者は一般就業政策(GEP)による就労ビザの対象となっていません。

  • アフガニスタン
  • キューバ
  • 北朝鮮
  • ネパール
  • ベトナム

近年 日本では多くのネパール人やベトナム人が働いています。優秀な人材であって香港現地法人への出向を希望される日本企業も少なくないと考えますが、残念ながら現行制度では申請ができません。

 一般就業政策(GEP)以外で就労を行うことができるビザ

GEPの他に香港で就労可能となるビザには次のようなものがあります。

  • Top Talent Pass Scheme (TTPS)
  • Admission Scheme for Mainland Talents and Professionals (ASMTP)
  • Technology Talent Admission Scheme (TechTAS)
  • Investment as Entrepreneurs
  • Capital Investment Entrant Scheme (CIES)
  • Immigration Arrangements for Non-local Graduates (IANG)
  • Admission Scheme for the Second Generation of Chinese Hong Kong Permanent Residents (ASSG)
  • Training
  • Foreign Domestic Helpers
  • Enhanced Supplementary Labour Scheme
  • Special Scheme to Import Care Workers for Residential Care Homes
  • Sector-specific Labour Importation Schemes
  • Dependants
  • Permanent Residents

上記には日本人が対象とならないビザなどが含まれているため、ここでは一般就業政策(GEP)以外で日本人になじみのあるTraining(研修ビザ)、Dependants(家族ビザ)そしてPermanent Residents(永久居民)について簡単に説明します。

 Training (研修ビザ)

居住する国・地域では得られない特別な技術や知識を習得するために、12ヶ月以内(通常は6ヶ月)の期間限定で香港に渡航し研修を受けることが可能となるビザです。

香港は国際金融都市であることから、日本の金融機関が社員を香港所在の欧米系金融機関で一定期間研修させるため等で利用されているビザです。派遣元と派遣先に一定の関係(自社の香港法人や取引先など)が必要です。

 Dependants(家族ビザ)

駐在員がその配偶者を帯同した場合などは、その駐在員をスポンサーとして配偶者は家族ビザを取得することができます。この場合、家族ビザを持つ配偶者は届出や許可取得など必要とせず自由に就職すること、さらには自ら起業することが可能です。このことから、決まった雇用主のもとで働くことが求められる就労ビザよりも自由度が高いといえます。

 Permanent Residents(永久居民)

有効なビザを持ち香港に継続して7年間生活した場合、申請することによりPermanent Residents(永久居民)となることができます。これによりローカル人材と同様に自由に就職・起業することができます。

香港就労ビザを取得しなくてもよいケース

これまで説明したとおり外国人が香港で就労する場合は、日数・報酬の有無に関係なく就労を許可するビザを取得する必要があります。

この原則の例外として、就労ビザ(他の就労系ビザ含む)を必要とせずできる活動(商用訪問など)が一部あります。

この例外に該当すれば、観光などと同様に日本人の場合 ビザ無し訪問(90日間)を利用して行うことができます。

 商用訪問などの一部の活動

  • 契約の締結、入札への参加
  • 商品や設備の梱包・設置に係る検査・監督
  • 展示会や貿易見本市への参加
    (一般大衆に対して商品販売やサービス提供を行う行為、展示ブースの設置作業は不可)
  • 賠償の履行およびその他民事訴訟手続き
  • 商品説明会への参加
  • 短期セミナー・会議への出席

上記以外の活動であって、一般大衆に対して商品販売やサービスを提供する行為は、たとえ1日であっても、また香港内の法人等から報酬が発生しない場合であっても事前に就労を許可するビザを取得する必要があります。

そこで登場するのが次に説明する香港短期就労ビザです。

香港短期就労ビザ

香港短期就労ビザは1日~数日程度のイベント等のために必要となるビザです。

例えば、芸能人のコンサートやアーティストの展示即売会、スポーツ選手の出張教室、商品の実演販売など、一般大衆に対して商品の販売やサービスの提供をする行為が対象となります。

この香港短期就労ビザですが、「香港短期就労ビザ」という申請カテゴリーが正式に設けられているわけではありません。

申請はあくまでもGEPに基づいた就労ビザのカテゴリーで申請することになります。

一方で、必要書類や記載内容は通常の就労ビザ申請とは大きく異なります。

香港入境局は短期就労の申請については申請書類の簡略化に努めるとしていますが、短期就労ビザの申請様式は定まっていないため、申請者が申請書類を工夫して用意しなければ単に「許可基準を満たさない通常の就労ビザ申請」として(不許可)処理されてしまう恐れがあります。

また、香港入境局は短期就労ビザの申請に対して迅速審査に努めるとしています。この点についても、通常の就労ビザ申請ルートでの手続きとなるので、標準処理期間(4週間)を念頭にスケジュールに余裕をもった申請が望ましいです。

 

 

雇用主の責務 : 採用から雇用終了まで

香港で就労ビザが必要となる求職者について、その採用からビザ申請、そして雇用終了まで、雇用主には様々な責務が課されています。

 採用時にすべきこと

既に香港に居住している外国人を採用する場合、雇用主のもとで就労するために有効なビザを持っているかを確認し、必要な対応をとる必要があります。

採用前に香港IDカード及びパスポートを確認する

雇用主には、求職者の雇用前に、合法的に雇用可能な人物かどうかを判断するため実務上可能なあらゆる手段を講じる義務が課されています。求職者が香港永久性IDカードを所持していない場合、雇用主は求職者の有効なパスポートを確認する必要があります。

求職者のIDカード及びパスポートを確認することとは別に、雇用主はその人物に対して香港での滞在条件や職務経験について、その人物の合法的な雇用可能性について合理的な疑いを抱かせるものでないことを確認する義務があります。

特に、求職者が「香港永久性IDカード」ではない通常の「香港IDカード」を所持している場合、雇用主はその求職者が香港入境局長の事前の許可なしに香港で自由に就労できること及び滞在条件に違反していないことを確認する必要があります。ビジター、学生、就労制限付きの滞在が許可されている者、又は「雇用は許可されない」という滞在条件が付されたビザを持つ者を雇用するには、香港入境局長の事前許可、つまり就労を可能とするビザを取得することが必要です。

雇用主が求職者と雇用契約を結ぶための確認や調査を怠った場合、裁判所は雇用主が既に全ての実際的な手段を講じたという抗弁を認めない可能性があります。雇用主が求職者のIDカードの確認を怠った場合で、その求職者が香港永久性IDカード及び有効な旅券を持っていなかったということになれば、有罪判決を受けた場合、最高で罰金15万ドル及び禁固1年に処される可能性があります。

入管条例では、不法移民、退去命令または国外退去命令の対象者、不法滞在者、上陸許可を拒否された者など、合法的に雇用可能でない者を雇用した雇用主に対する最高刑は、その犯罪の重大性から、罰金35万ドル及び禁固3年から罰金50万ドル及び禁固10年に大幅に引き上げられました。また、不法就労者を雇用した法人の取締役、支配人、秘書、パートナー等も刑事責任を負う可能性があります。高裁の判決においても、不法就労者の雇用主は即刻拘留刑に処すべきと判示しています。

合法的に就労可能なビザを持たない者を雇用し有罪となった雇用主は、今後スポンサーとして就労ビザ申請する際においても極めて不利な扱いをうけることを覚悟する必要があります。

<参考>

香港永久性IDカードには、裏面に”The holder of this card has the right of abode in Hong Kong.”と記載があります。永久性でない通常の香港IDカードにはその記載はありません。

香港パーマネントIDカード

 

 

 

 

 

 

 

 

求職者が有効な就労ビザを持っている場合はスポンサー変更申請をする

求職者が採用前に既に香港で働いており、有効なビザを持っていることが確認できた場合に必要となるビザ手続きがあります。

それは雇用主(スポンサー)の変更をおこなうスポンサー変更申請です。

就労ビザは、申請者と雇用主の双方が審査され許可されていることから、転職により雇用主が変わった時は再度 香港入境局の審査を受ける必要があります。

旧雇用者から香港入境局へ雇用終了の通知がされている場合や後任者のビザが許可されている場合などにビザが失効することも考えられますので、雇用決定後すみやかにスポンサー変更の申請手続きを行うべきです。

尚、香港入境局からスポンサー変更申請の許可が下りる前に、新しい雇用主のもとでの就労を行うことは認められていません。

※求職者が永久性IDカード又は家族ビザを所持する場合、スポンサー変更申請の手続きは不要です。

 ビザ申請時にすべきこと

就労ビザ申請は申請者のみで行うことはできません。このことはほとんどの雇用主が理解していますが、なかにはこれまで外国人を雇用した経験がなく、ビザ申請は求職者が自分で処理すべきことと考える雇用主も存在します。

就労ビザ申請において、雇用主は主に次のような対応が求められます。

  • 申請書類への署名
    代表者などの署名権者が行います。
  • 会社資料の提出
    社員情報、財務情報、取引先情報、事業計画など状況に応じて機微にわたる資料の提出が必要です。
  • 香港入境局への応答
    申請後、香港入境局から法人についてさらに説明や資料提出を求められる場合があり、回答期限内に対応が必要です。

 雇用継続するときにすべきこと

ビザ期限後も引き続き従業員として雇用を続ける場合には、期限までに就労ビザの延長申請を行う必要があります。
雇用主は、ビザスポンサーとして、申請書類への署名や資料提出によりビザ延長申請に協力します。

 雇用終了時にすべきこと

就労ビザを持つ従業員が退職したり解雇となった場合、その旨を香港入境局へ通知する必要があります。これを怠ると、香港入境局が持つ雇用主の外国人雇用情報が更新されず、次回ビザ申請の審査に支障をきたす場合があります。

香港就労ビザの申請書類

就労ビザ申請手続きを開始する前に、申請者は雇用主から内定を確定していなければなりません。つまり、申請者と雇用主が報酬パッケージや職務内容などの雇用条件に合意していることが申請の前提となります。

申請書類は香港入境局により必須書類が示されていますが、申請者・雇用主の背景・状況に応じて臨機応変に対応する必要があります。

一般的には下記書類を中心に準備します。

<申請者側で準備する書類>

  • 申請書(ID 990A)
  • 顔写真
  • パスポート顔写真ページのコピー
  • 最終学歴証明書
  • 職務経歴書
  • 退職証明書
  • 資格証明書など

<雇用主側で準備する書類>

  • 申請書(ID 990B)
  • 出向書
  • 雇用契約書又は採用通知書
  • 会社登記書類(CI, NNC1, NAR1, BR等)
  • 直近年度の決算書類
  • 事業計画書(会社設立から12ヶ月以内の場合は必須)
  • 事務所賃貸借契約書
  • 銀行口座明細
  • 事業に必要となるライセンス書類
  • 会社案内
  • グループ会社の情報など

 

香港就労ビザの申請から取得の流れ

香港就労ビザ申請の流れ

  1. 申請書類の準備
    申請者及び雇用主それぞれ必要書類の準備・作成を行います。
  2. 署名
    申請者及び雇用主が申請書や雇用契約書などの書類に署名・押印を行います。
  3. 申請
    香港入境局へ申請書類を提出します。
  4. 審査
    香港入境局による審査。審査期間は申請から通常4週間となります。
  5. 結果通知
    許可された場合は香港政府にビザ発行手数料を支払い、ビザの交付を受けます。
  6. 香港入境
    ビザを携帯して香港に入境します。
    入境審査が済ませることにより就労ビザが有効となります。
  7. 香港IDカード申請
    入境日から30日以内に香港IDカードの申請を行います。
    香港IDカードの申請では本人確認が行われるため申請者本人が出頭して手続きする必要があります。

 

申請内容によっては追加書類が要求され審査が長期化する可能性もあります。したがって、雇用が決定したらできるだけ早期に申請必要書類の準備を始めることをお勧めします。
申請を行ったからといって、ビザが許可されるまでは就労行為が禁止されていることは言うまでもありません。

香港就労ビザ申請はこうすれば不許可となる

入国管理行政は裁量権が大きいため、申請者が後任の代表者であるとか雇用主が大手企業だからという理由だけで安易に考えて申請を行うことは危険です。

また、香港入境局が示す申請必要書類を提出しても、申請は申請者及び雇用主の状況により審査されるポイントは異なります。したがって、申請前に申請者及び雇用主のウィークポイントを知り、その部分を手当てする必要があります。

申請が不許可となるのは次の場合です。

 許可基準に満たないと判断された場合

申請者が一般就業政策(GEP)の掲げる基準を満たしていないことや、雇用主の事業状況等に問題がある場合です。不許可の理由となる点は他の項目により埋め合わせることができる場合と、そもそも無理な場合(例えば、申請者が過去に重大な罪を犯し、香港にとって安全保障上好ましくない人物である等)があります。

香港入境局は不許可の理由を詳しく説明することはありませんので、申請前に問題点の有無について十分な検討と対策が必要です。

 追加・訂正書類を求められた期限内に提出しなかった場合

香港入境局は申請者または雇用主について、追加で証明書類やより詳しい説明を求める場合があります。
提出を求める通知が届いた場合は、提出期限が定められていますので期限厳守で対応してください。
もし期限内に提出が難しい場合はすみやかにその旨を書面で香港入境局に通知しましょう。

 

事前の許可可能性判断と申請で主張立証する内容の検討が大切

就労ビザは申請すると香港入境局の審査に係属し、その間 状況を問い合わせても「審査中」との回答しか得ることができません。長らく待った後、不許可通知が届いてもそこには具体的な理由は記載されておらず何が原因で不許可となったかわかりません。

原因を知るためには提出した申請書類を一般就業政策(GEP)の基準に照らして精査しなおす必要があります。不許可となった申請の再申請は、初めに提出した申請書類には記載していない顕著な事実があるなど特別な場合に限られます。

不許可理由の確認作業や再申請書類の準備は初回申請に比べて大変な時間と労力が必要となります。

申請者及び雇用主が貴重な時間を無駄にせず、予定する雇用開始時期にあわせてビザを取得するためには、事前にビザ許可可能性の判断、そして申請書類でどのように主張立証を行うかの戦略をしっかりと立てることが非常に大切です。