今回は業務委託契約書についてお伝えします。
私たちは、モノの修理や制作、サービスの提供など様々な場面で業務委託を行い、逆に受けています。依頼した/受けた業務が完了して互いに問題なく終わればよいのですが、時には、依頼したとおりの品質でなかったり、支払われるべき金額が支払われないことでトラブルとなることがあります。
こういったトラブルの多くは契約書の曖昧さが原因となっています。
こちらにとっては当然のことと考えていても相手方がそのとおりに認識しているとは限らないため、打ち合わせなどで決定したことは5W1Hでしっかりと契約書に落とし込む必要があります。
特に契約期間が長期の場合、力関係により当初契約で決定された事項を妥協した当事者は契約期間中に意識的にしろ/無意識的にしろ取り戻そうとする傾向があるので、起こりうる様々な場面を想定して条項を定めるとよいでしょう。
以下では、調査や助言などの情報提供型の業務委託で成果物納品を伴わない場合を例に契約書作成のポイントと骨子をご説明します。
業務委託契約書作成のポイント
業務内容の特定・明確化
どういった業務をどこまで委託するのか可能な限り特定します。この点をはっきりさせておかない場合、当事者間で業務遂行レベルの認識のズレが生じ、トラブルの元となります。
契約条項中に記載することがボリューム的に難しい場合は別紙として添付しても問題ありません。
業務遂行や進捗の把握
業務の遂行が滞りなく適切に行われているか、報告書の提出や定例会議の開催などによってモニターする必要があります。
秘密保持
業務委託契約の当事者が業務の遂行によって相手方の秘密情報に触れる場合があります。第三者に開示・漏洩されてはならない情報については、開示・漏洩を行ってはならないよう規定します。また、受け取った資料などの管理方法についても定めておいたほうがよいでしょう。
競業避止
業務を委託した相手方が契約遂行過程で入手した情報を利用するなどして、自社事業と競業する事業を始める場合があります。そのような相手方には少なくとも当該事業開始前に通知義務を課しておくのが望ましいです。
業務遂行費用
受託者が業務遂行で必要とする交通費等の費用負担について、どちらがどの範囲まで負担するか定めます。
再委託
委託者側としては受託者の能力を見込んで委託したのに、受託者が勝手に第三者に業務を行わせたのでは困ります。受託者が第三者に再委託する場合にはあらかじめ当該第三者の情報などを通知させ、問題がないかチェックしましょう。また、当該第三者にも受託者と同様の秘密保持義務を課す必要があります。
契約解除
相手方の契約違反や信用低下が生じた場合、契約関係から離脱できるよう、どのような状況で契約解除できるか定めます。
業務委託契約書の条項骨子
一般的な業務委託契約書(調査やコンサルティング)に定める条項骨子の一例は以下のとおりです。
第1条 業務の内容
第2条 対価
第3条 費用
第4条 善管注意義務
第5条 報告義務
第6条 契約期間
第7条 秘密保持
第8条 再委託
第9条 競業避止義務
第10条 契約解除
第11条 権利義務の譲渡禁止
第12条 紛争解決
以上、業務委託契約についてお伝えしました。
業務委託契約はバリエーションが多く、成果物が生じる契約の場合はまた違った条項が必要となってきます。成果物が生じる業務委託についてはまた別の機会にご紹介したいと思います。
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