譲渡禁止条項の解説
契約は当事者間で交渉の上、互いの信頼関係を基礎として成立する。
互いに相手を信頼して締結した契約が、突然 第三者が契約相手に変更されてしまった場合、例えば、ソフトウェアの開発実績があるから委託してした相手(受託者)が聞いたこともない会社に自らの契約上の地位を譲渡してしまったら、委託した側としては納期通りに仕様を満たしたソフトウェアが納品されるかはなはだ不安となるでしょう。
また、逆に委託者が変わった場合には、受託者としては対価がしっかりと払ってもらえるか心配になるでしょう。
第三者の信用力・技術力などが十分であったとしても、相手方当事者としては契約の基礎となっている信頼関係が崩れてしまい、円滑にいくものもいかなくなってしまうことが考えられます。
したがって、契約上の地位や権利義務の譲渡は禁止する、または事前の同意など一定の条件を課したうえでのみ譲渡できると規定するのが譲渡禁止条項の役割です。
譲渡禁止条項の例文
契約譲渡を禁じるシンプルな例文です。譲渡には相手方の明示の書面同意が必要とされています。 This Agreement may not be assigned by any party without the express written consent of the other parties. |
本例文では「契約上の権利義務」の譲渡を禁じる内容です。 No Party shall have the right to assign any of its rights or obligations under this Agreement without the consent of the other Parties hereto. |
相手方の書面による同意があれば契約上の地位や権利義務を譲渡することができます。後半では譲渡がなされた場合、契約がその譲受人を拘束すること等が確認的に定められています。 Neither this Agreement nor any of the rights, interests or obligations hereunder shall be assigned by any of the parties hereto without the prior written consent of the other parties. Subject to the preceding sentence, this Agreement will be binding upon, inure to the benefit of and be enforceable by the parties and their respective successors and assigns. |
本例では(買主が)契約上の権利・利益を譲渡することだけでなく、担保として提供することも原則として禁じています。 The Purchaser may not, without the prior written consent of the Seller, assign, grant any security interest over, hold on trust or otherwise transfer the benefit of the whole or any part of this Agreement. |